ウミホタル研究の歴史



 

■記載
 ウミホタルが初めて種として文献に記載されたのは1890年、ドイツの研究者G.W.Muellerによって「Cypridina hilgendorfii 」として記載が行われました。
 このウミホタルは、当時、東京大学講師として来日していたドイツのFranz Martin Hilgendorfが採取したものでしたので、その名前にちなんで学名が付けられました。
 その後、学名の変更があり、現在の「Vargula hilgendorfii 」となりました。

■第二次世界大戦
 種の記載後、主に発光物質についての研究がなされてきましたが、第二次世界大戦中、旧日本軍はウミホタルの軍事利用を計画したという事実があります。
 戦時中、当時の小学生が動員され、いくつかの場所で大量のウミホタルが採集されました。ウミホタルは特殊な処理をして乾燥させると、水を加えるだけで発光するという性質があり、この性質を使って、照明や道しるべ、驚くことに照明弾といったものの開発まで進められていたと言われています。
 実際に、戦争で使われたのかどうかははっきりとしていませんが、当時の研究者の話では、輸送中に多くが湿気を帯びてしまい、いざ使おうというときにはほとんど発光しなかった、という説が有力になっています。照明弾に至っては、戦況の悪化に伴い、完成することはなかったと言われています。

■生態研究
 ウミホタルの研究は発光物質についてが主でした。生態に関しての研究は1940年〜1950年代にかけて、加藤光次郎や中村中六らによって研究されましたが、それ以降はほとんど生態についての研究は行われておらず、謎の多い生物だったのです。
 1990年代になり、阿部勝巳先生(当時東京大学助手、後の静岡大学助教授)や私たちがウミホタルの生態についての研究をスタート。今まで知られていなかった生態が少しずつ明らかとなってきました。しかし、未だに謎の部分が多く、まだまだ未知の生物というのが現状です。

■参考文献
(1)阿部勝巳,1994.海蛍の光.ちくまプリマーブックス78.
(2)畑正憲,1975.ムツゴロウの博物誌.文芸春秋社.
(3)千葉県高等学校教育研究会理科部会生物分科会教材生物研究班,1994.海蛍の生物学.日本生物教育会50回大会千葉大会.

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