ウミホタルの生態
(1)−2 弱い光に対するウミホタルの応答



 

 ウミホタルは強い光に対して負の走光性を示す。しかし、これまでの観察から、光に集まろうとする正の走光性の存在も疑われた。そこで、光の波長や強さとの関連を明らかにするべく以下の通り実験を行った。

■弱い光に対する走光性実験

<実験>
(実験方法)
 実験実施日:1996年9月26日
 水槽(縦22cm、横12cm、高さ15cm)に海水とウミホタル(採取日不明、東京湾)約300個体をいれ、暗闇に20分間放置したうえで、横から光源装置(電球)の光をあて、ウミホタルの様子を観察した。
 光源は、はじめは強い光を、その後弱い光を当てた。

(観察結果)
 光源で強い光を当てると、ほとんどのウミホタルは負の走光性を示した。次いで、光を急に弱くすると、今度は光源に近づいてくる様子が観察された。以降、時間が経過するにつれ、集まっていたウミホタルは次第に分散し、ばらばらになって泳ぎ始めた。
 なお、3日間エサを与えない空腹状態と、エサを与えた直後との比較では、同様の結果が得られたが、空腹時の方が反応速度が速かった。

■さまざまな波長の光に対する走光性実験

<実験>
(実験方法)
 水槽(縦45cm、横9cm、高さ15cm)に海水とウミホタル約300個体をいれ、暗闇に20分間放置したうえで、横から光源装置の光をあて、ウミホタルの様子を観察した。
 光源には、青、緑、黄、橙、赤の各色のカラーシートで作成したフィルターを被せ、光源が水槽に当たる部分での照度を測定した。
 実験では、照度を徐々に下げていき、ウミホタルの負の走光性が、正の走光性に変化した照度を記録した。

(観察結果)
 どの色(波長)でも光の強弱による走光性の逆転を確認できた。ウミホタルは、青、黄、オレンジの光に対しては、敏感に反応して負の走光性を示すことがわかった。また、満腹時の方が負の走光性を起こしやすい傾向にあることがわかった。

フィルターの色満腹時空腹時
5
50
15
70
オレンジ
10
80
210
240
120
180
表1.負の走光性から正の走光性へ変化する照度(単位:lux)
数値は概数値。


■出典

千葉県立磯辺高等学校科学部,1996.海蛍の生態研究1−集団自然発光の謎!−.より引用・抜粋。
なお、ホームページに掲載するにあたり、一部再編集を行っています。


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