日本国内においてウミホタルは、青森県から沖縄県までの沿岸に広く分布する生物です。 しかしながら、正確な分布は未だはっきりしておらず、また、同じとされるウミホタルでも、 地域によって成体の大きさが異なるなど、地域による遺伝的形質の違いも研究者により示唆されています。 本会でも、飼育の方法等を公開していますが、飼育方法の説明と同時に異なる地域への放流はしないように 呼びかけています。これは、特定の地域のウミホタルを他の地域の海に放流することにより 在来のウミホタルとの交雑が起こり、重大な遺伝攪乱が起こる可能性があるためです。 こうした遺伝攪乱は、最悪の場合、地域のウミホタル集団の絶滅を引き起こす恐れもあります。 現在、国内・地域では本来生息していなかったはずの生物が、人為的に国内・地域に持ち込まれて 本来生息する在来種や生態系全体に被害を及ぼしていることが問題になっています。 これに対し、日本政府(地球環境保全に関する関係閣僚会議)は「新・生物多様性国家戦略」 を閣議決定し、平成16年3月9日には「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律案」 が閣議決定され、国会に提出される見通しとなりました。 本法案は国外から国内への移入種が対象となっていますが、政府の決定した「新・生物多様性国家戦略」 に従うのであれば、特定の地域のウミホタルを、 他の地域へ拡散させる行為は慎むべき行為であると言わざるを得ません。 国内から国内なのだからどこに移入しても構わないというのは、あまりに勝手な意見であり、 非常に危険な考え方ではないでしょうか。 近年、インターネットや通信販売等で、生きたウミホタルが販売されているのを目にすることがあります。 最初に述べたとおり、ウミホタルは地域により遺伝形質に違いのある可能性がある生物です。場合によっては亜種が 存在している可能性も否定できません。そうした生物を不特定多数に販売することにより、重大な遺伝攪乱、すなわち生物多様性が損なわれる可能性が高くなると本会では危惧しています。 これからウミホタルを飼育しようとしている方、もしくは現在飼育している方にお願いです。 飼育できなくなったからと言って、採取地と異なる海にウミホタルを放流することは絶対にやめて下さい。 こうした行為は自然破壊以外の何者でもありません。 平成16年3月
ウミホタルショー実行委員会 ※参考サイト※ ■首相官邸ホームページ ■生物多様性国家戦略(首相官邸ホームページ内) ■環境省ホームページ ■環境省自然環境局 生物多様性センター ■生物多様性国家戦略(生物多様性センターHP内) |